日本一周後の駄文

仕事を辞めて日本一周する人間の脳内とは。

放浪の旅後日談8 思い出編Ⅰ

みなさんこんにちは。


前回までは日本一周の行程についてまとめました。
まとめながら思ったのですが、北海道はともかく九州もなかなか大きいですよね。
北海道が大きいというのはもはや常識というか、まぁ義務教育で習うレベルです。
しかし…九州も意外と大きいんですよ。
いや、面積が広いというより、「海岸線が長い」と言った方が正確かもしれません。
都道府県の中で一番海岸線が長いのはもちろん北海道ですが、次に長いのは長崎県なんですよ。
海岸線をたどらなければ、だいぶ距離を節約することもできるかもしれないですけどね。


さて、今回からは日本一周で思い出に残っていることをランキングにしようと思います。
何をランキングにしようか色々と悩んだのですが、5つに絞りました。


1 美味しかったビール
2 美味しかった食べ物・ラーメン
3 面白かった博物館・水族館
4 楽しかった都道府県
5 きつかった日
6 持っていって良かったもの


こんな感じでいこうと思います。
他にも何かランキングにしてほしいものがあったら伝えてくれるとありがたいです。


というわけで、今回は「美味しかったビール」について書こうと思います!



といっても、私は各地の地ビールを色々飲んだというわけではありません。
美味しかったビールランキングとは、それはすなわち「ビールが美味しかった日ランキング」なのです。
美味しかった日の傾向というか共通点を探れば、とびきり美味いビールを飲めるということですね。
ビールが好きな人は参考にしてください。
では参ります。


五位 沖縄県国頭郡東村「オリオンビール」
   走行距離132キロ 獲得標高794メートル


これは沖縄二日目に飲んだビールです。
沖縄は、当たり前ですがクソ暑いです。
それも、暑さの質が本土と違うんですよ。
太陽がギランギランに輝いて、冗談ではなく焼ける感じがあります。
完全に、自転車で走る環境ではありませんでした。
しかも…この日走ったのは132キロでしたが、前日の夜10時から深夜の2時まで70キロ走っていたんです。
24時間で考えたら200キロ走っていたということになりますね。
くたくたになってこのオリオンビールを飲んだのですが…犯罪的な美味さでした。
そして、少し切なさもありました。
沖縄が終わったら、あとは静岡に近づいていく一方なのです。
旅の終わりの気配を感じました。
このビールは「予感のビール」です。



四位 静岡県熱海市「熱海ビール」
   走行距離56.2キロ 獲得標高523メートル


これは日本一周の初日に熱海で飲んだビールです。
富士宮から熱海までなので距離は全然ありませんが、初日でまだ体力がついていないということもありなかなか大変でした。
この行程、沼津三島辺りまでは平坦なのですが、そこから熱海に至るまでに400メートルの山を越えなければいけないんです。
初日から汗だくだくのヒルクライムを経てたどり着いた熱海で飲んだこのビールは、それまでの人生の中で一番美味しいビールだったと記憶しています。
これから毎日、ひたすら走ってはビールを飲んでいくことでしょう。
それが楽しみで、ようやく自分の夢が叶い始めている感覚を得ました。
このビールは「夢のビール」です。



三位 北海道松前郡松前町「サッポロクラシック」
   走行距離99.8キロ 獲得標高420メートル


これは北海道初日に飲んだビールです。
この日は、「いよいよ北海道一周が始まるんだ」とテンションが上がっている一方で、「北海道って全然町がない…生きていけるのか…?」と不安を感じてもいました。
北海道一周がとんでもなく長いということだけは知っていたので、もはや恐怖していたのです。
約100キロ走っても、地図上ではほんの少ししか動いていません。
精神的に疲弊し、軽く絶望しながらこのビールを飲みました。
すると…何とかなる気がしたのです。
ものすごくしんどくてつらい一か月がこれから始まるのだろうけれども、きっと頑張れる。
そして頑張ったらビールが美味しい。それでいいじゃないか。
このビールは「希望のビール」です。



二位 愛媛県西宇和郡伊方町「アサヒスーパードライ」
   走行距離126.8キロ 獲得標高1266メートル


これは四国初日に飲んだビールです。
私は海岸に一番近い国道を走って回ることが日本一周と定義していたのですが、何をトチ狂ったのか、四国の一番西「佐田岬」に行こうと思ってしまったんです。
ここは、山です。
獲得標高1266メートルは後半に集中しており、勾配がきつくてしかも暑くて、そこを目指したことを何度も後悔しました。
それに、佐田岬までは道が一本しかないため、明日また同じ道のりを走らなければならないんです。
下り坂が憂鬱になるんですよ…そんなことってありますか?
しかも、この日は午前中雨が降っていました。
出発したのはお昼ごろです。
短い時間で120キロ以上走るのは…苦しかったです。
ここでビールを飲んだ時、私は戦慄しました。
ビールって、こんなにおいしいものだったか⁉と思ったんです。
もうすべてが肯定されました。
自分はこの最高のビールを味わうために、厳しい行程をクリアしたのだと思いました。
このビールは「苦難のビール」です。



一位 静岡県静岡市駿河区「アサヒスーパードライ」
   走行距離187キロ 獲得標高818メートル


これは、日本一周140日目、つまり最終日前日で飲んだビールです。
この日、私は愛知県の渥美半島の先端からスタートしました。
御前崎までが目標で、その距離は120キロです。
ちょうどいい距離なのでそこで終わろうと思っていたのですが…そうもいきませんでした。
長かった旅がようやく終わる、そう思うと先に進むのが楽しくて楽しくてしょうがなかったんです。
実際、楽しくはありましたが過酷な旅です。
内心早く終わらせたいという思いはありました。
そう思い始めたのは日本一周二日目からです。
ようやく望みが叶いそうな状況です。
その中、静岡に住む友達が「うちに泊まっていいよ」と声をかけてくれました。
その希望の言葉があったからこそ、私は187キロ走ることができたのです。
家につくと、その友達は私にビールを振るまってくれました。
このビールが、違いました。
今まで飲んだビールとは根本的に持つ意味が違いました。
このビールは、「終わりのビール」です。



私は一つの結論にたどり着きました。
それは、「環境の変化」「限界を超える」ということがビールを美味しく飲むための最高のスパイスだということです。


走る場所はもちろん、心境という点で転換点に立っている時に飲んだビールを美味しいと私は感じているのです。
さらに、新天地に入っているという時点で半分自明のような部分はありますが、全て「ある程度無理をしている」のです。
24時間で200キロ、日本一周という旅の始まり、とてつもなく長い北海道へ足を踏み入れる勇気、通常の半分の時間で120キロ1200メートル登るという苦行、そして180キロの行軍…


苦難を乗り越えた先に、とびきり美味いビールはあなたを待ってるのです!
美味しいビールを飲みたいと思っているそこのあなた。
自分の今置かれている環境を放棄し、自身の限界を超えることができれば、きっとおいしいビールを飲むことができます。


ただ一つ惜しむらくは、それが難しいということです。


何度も言っていますが、働いていることが一番立派です。
私は働いている人を尊敬しています。
だから環境を変えるというのは、単なる比喩だということを忘れないでください。
仕事に関係があるかないかに関わらず、新しいことにチャレンジして自分の限界を超えることができれば、美味しいビールが飲めるはずです!
みなさんの素敵なビールライフを、私は応援しています。


ではまた明日。

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